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「GRID 2」シングルモードレビュー、完璧ではないが自分が求めていたものに近い出来

date: 2013/06/18 18:00
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Race Driver: Grid (GRID)」をプレイして以来、「Colin McRae: Dirt 2」「F1 2010」「Colin McRae: DiRT」「DiRT 3」「F1 2011」という順にCodemastersのレースゲームをプレイしてきた自分にとって、その原点の正統な後継作となる「GRID 2」に対する期待は並々ならぬものがありました。
ただ同時に、不安も大きかったのです……。

このブログでも何度か言及していますが、「GRID」「DiRT 2」の主要スタッフがCodemastersを抜け、2009年に「Playground Games」という新しいデベロッパーを立ち上げたのは一大ニュースでした。
ここにはCodemasters以外にも、Bizarre Creations・Criterion Games・Ubisoft Reflections・Slightly Mad Studiosといったレースゲームで有名なデベロッパーの元スタッフが参加しています。
彼らが昨年リリースした「Forza Horizon」のゲームプレイの様子を見たとき、自分がまさに好きだった「GRID」や「DiRT 2」が体現していたレースへの情熱を感じました。

一方、その彼らが抜けた後のCodemastersのレースゲーム作品には、「F1」シリーズこそ切り口の違う目新しさがあったものの、大事な何かが欠けている違和感が常にありました。
さらに「DiRT Showdown」のリリースに至り、「グラフィックが綺麗なだけ、レースゲームという体裁を整えただけの、中身が空っぽな『何か』」という印象は決定的なものになります。

そんな流れに逆らい、「GRID 2」は「DiRT 2」以前の情熱を取り戻せるのか……。
それが本作における最大の注目点でした。


「GRID 2」シングルモードレビュー、完璧ではないが自分が求めていたものに近い出来

PC版の購入について

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先月日本での購入に関する記事で挙げたとおり、本作のPC版のリリース予定日は、日本での家庭用ゲーム機版のリリース日にあわせて7月末と表示されています。
しかし6月現在、Gamesplanetなどで購入したゲームキーをSteamに登録してプレイすることは可能です。実際に自分もGPで購入しました。

帰ってきた「レース」の熱

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PCがメインプラットフォームである自分にとって、これまで「決定版だ!」と言えるレースゲームはありませんでした。
より正確に言うなら、過去にプレイした中にも面白いと思った作品は数多くありましたが、どれもストライクど真ん中ではなかったのです。

レースゲームは大別すると、「アーケード」と「シミュレーター(シム)」の2つに分けられます。
しかし自分が求めていたのはその中間――非現実的なアクションを用いたデスマッチではなく、膨大で難解な設定箇所に煩わされることのない、フェアでコンペティティブなレースを気軽に体験できるゲーム――だったのです。
そしてそんな細かい要望にまさに合致したのが前作「GRID」であり、今作「GRID 2」でもその流れを汲み、アーケードとシムの長所をバランスよく合体させた出来上がりになっています。

この記事を書くにあたって、シングルプレイヤーモード(キャリアモード)を一通りクリアしました。
エンディングを見るまでにおよそ18時間費やしましたが、長すぎず短すぎず、適切なボリュームだと思いました(前作や「DiRT」シリーズが冗長だと感じていただけに、さらに……)。

オリジナルコースのレイアウトも面白いし、いくつかの異なるレースルールも刺激的で、全体として80点は堅い仕上がりです。

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プレイヤーのレースキャリアはシカゴのローカルなレースにはじまり、そこでの活躍から「World Series Racing (WSR)」というレースイベントにスカウトされるという流れ。
最初はWSRも無名の小さなレースイベントなのですが、世界各地に点在する小規模なレースクラブのイベントのレーサーとファンを取り込みながら拡大し、文字通り世界規模の人気エンターテインメントへと成長していきます。
プレイヤーはWSRオーナーの肝いりレーサーとして、イベントの盛り上がり体感できるわけです。

今作のキャリアモードでは、経験値によるレベルアップというシステムではなく、「ファン数の増加」という形でイベントの規模が可視化されています。
最終的にファンは数百万人規模になるわけですが、その瞬間はなかなかに嬉しいものです。
また、車両はWSRのオーナーから支給されるので、お金をやりくりして新車を買うといった窮屈さはありません(オーナーから提示された2台のうち1台を選択して受領。ただし残るもう1台も後からレースイベントの報酬としてもらえます)。

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「レースクラブを取り込む」というシナリオは、様々なルール(例えばタイムアタックやオーバーテイクなど)を実施するのに理に適った設定と言えるでしょう。
各シーズンのファイナルとして存在するWSRのチャンピオンシップでは、敵車のAIも手ごわくなり、やりごたえがあります(これはもしかしたら、NFS的なラバーバンドなのかもしれませんが……)。
BGMの盛り上がりも必聴です!

ただし足りない点、気になった点も多い

そもそもの立ち位置

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しかし残念なことに、満点の出来ではありません。
この話をする前に、まず、「GRID 2」は「GRID」の全要素を含んでいるわけではない、ということを明言しておかなければならないでしょう。
「GRID 2」と「GRID」は、部分的に重なる箇所を持っているものの、全体的には同格の作品なのです。
例えば「Gran Turismo」シリーズや「Forza Motorsport」シリーズがナンバリングを進めるごとに、収録車種数・収録コース数・新機能の追加といった漸次的な進化をしてきたのに対して、「GRID 2」では大胆な取捨選択が行われています。

つまり、新しい車・新しいコース・新しい機能を追加した分、以前からあった要素から切り捨てられたものも多いわけです。
限りあるリソースの中でやりくりしなくてはいけないのですから、開発側からすれば「何かを取れば何かを捨てる」というのは自然な流れでしょう。
しかし前作のファンが単純に「グレードアップ版としての新作」を期待するのは当然の話で、この両者の考え方の違いを、「ユーザーの思い上がり」と取るか「開発の能力不足」と取るか、難しい判断になります。

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前作から減った要素
  • コクピット視点
  • HUDが見づらい
    特に逆光時にはタイム表示が全く見えない。加えて車両のダメージアイコンも削られている
  • ファステストラップの表示
  • チーム名の入力
    チームとしてではなく、オーナー子飼いのレーサーとして参戦しているイメージ
  • リプレイのカメラワークが悪い
    シーンの切り替えが早すぎてテンポが悪い
  • 実在のサーキット
    前作に収録されていたニュルブルクやスパなどヨーロッパの有名サーキットが全部カットされている
  • アシストオフ機能
    マニュアルシフトこそ残っているものの、TCSやABSをオフにする設定が削られている
  • デモリッションダービー
  • ランボルギーニの車両

総括

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前作を「GRID A」とするならば、今作は「GRID B」といった印象。
「1」から「2」へ進化したという構図ではありません。

もちろん、2013年の作品らしいグラフィックレベルとやりがいのある仕様で、レースゲームとして一定の満足感は得られるでしょう(そういった意味で80点はクリアしています)。
ただし、なぜ狙える位置にあった満点の出来を目指さなかったのか、これほど多くの重大な要素を前作から削る必要が本当にあったのか、そのマイナス20点の部分が暗い影を落としていることは間違いありません。

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