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「Bientôt l’été」ゲームであるがゲームではない

date: 2013/04/19 19:07
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インディーズゲームを中心に「アートゲーム(art game)」というジャンルの作品をたびたび目にします。
このアートゲームという言葉については議論の余地がありますが、「芸術性に言及している点」と「シリアスゲームと区別されている点」から、個人的にはこの呼び方を使っています。

「Tale of Tales(ToT)」は、そんなアートゲームを生み出し続けているゲームデベロッパーです。
いえ、「デベロッパー」というよりは「アーティスト」と呼んだほうが適切でしょうか。


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彼らの最新作である「Bientôt l’été」は昨年末にリリースされ、今年2月にSteamでの取り扱いが開始されました。
このフランス語を英訳すると、「It’s nearly summer」――もうすぐ夏。

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This is not a game to be won.
プレイ開始直後に表示される注釈曰く、「この作品は勝敗をつけるようなゲームではない」、とのこと。
ToTファンであれば、「何を今更」と思うことでしょう。
過去作の「The Graveyard」「The Path」「Fatale」がそうであったように、「Bientôt l’été」もまた「ゲームであるがゲームではない」作品です。

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相変わらずの幻想的な美術と音楽、何を伝えたいのか分からない演出、意味ありげなメッセージ。
しかしそれらを難解であると拒絶したり、あるいは逆に、必要以上に持ち上げたりすることはありません。

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ToTの作品は、ゲームとしては一般的ではない操作設計がなされています。
本作で言えば、左スティックを下方向に入力すると「後ろに歩く」ではなく「目を閉じる」というアクションになっている点。
こういった細部にどういった意味があるのか(あるいはないのか)を考えるのも、ToT作品の楽しみ方のひとつです。

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文芸・美術・映画・音楽・演劇などが比較的高尚な「芸術」として一般的な評価を得ている一方で、ゲームは「娯楽」の域を出ないものだと見下されがちです。
しかし実際には、それら前者の良い要素をすべて網羅し、さらにインタラクティブ性を有する「ゲーム」こそが、自身の「芸術」を表現する舞台としてまさに相応しいと考える人間もいます。

「Tale of Tales」の作品は「実験作」という安易な言葉で説明されることが多いですが、そうではなく、「完成された芸術作品」なのです。
そういう心構えで向き合うことをオススメします。

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