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「Need for Speed: The Run」傑作ではないかもしれないが、決して駄作ではない

date: 2012/10/26 21:00
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ご存知の通り「Need for Speed (NFS)」シリーズは、「Hot Pursuit」のようなカーチェイス系から「Shift」のようなレース系まで、レースゲームファンのニーズに応えるべく様々な方向性をリリースしてきた老舗ブランドです。
しかし、これは言い換えれば迷走の歴史でもあり、ファンが「NFS」に求めているものがどんどんブレていく結果になってしまいました。
カーチェイスにしても、メインとなる相手が「警察」なのか「レーサー」なのかによって大分雰囲気が変わりますし、勝つための推奨プレイが「クラッシュ」か「クリーンな追い抜き」かというのもかなり好みが分かれるはずです。

2011年末にリリースされた「Need for Speed: The Run」をかばうべき点は、そういったNFSシリーズが長年貯めてきたブレのツケを一身で払わせられているところにあるでしょう。


実際にプレイしてみると、これがなかなか面白いゲームなのです。
舞台はアメリカ、約3,000マイルの横断レースに参加し、200位からスタートして1位を目指します。
このレースには莫大な優勝賞金がかけられていて、参加者全員が必死でスピードを上げていくという非合法なもの。

いくつか分けられたステージには目標順位が設定されていて、この数字が徐々に減っていくのがモチベーションに繋がっています。
また、単に他のレーサーを追い抜くラリーだけではなく、カウントダウン式のタイムアタックやライバルとのドミネーションバトル、市街地でのカーチェイスなどイベントはいくつか用意されています。

謳い文句にもある通り、Battlefieldシリーズでお馴染みの「Frostbite 2」エンジンによる美しい描写が印象的です。
本作のリリース当初はフレームレートが30fpsで固定されていたそうですが、PC版ではアップデートによってグラフィックオプションから垂直同期をオフにすることで可変にすることができるようになりました。
とはいえこれを60fps以上で安定させるにはある程度のスペックが必要になることでしょう。

このゲームについて驚いたのはハンドリングの素直さで、不自然なオーバーステア傾向が出ていた「Hot Pursuit」よりもよっぽど操作しやすかったです。
「Sleeping Dogs」でも少し触れましたが、同一エンジンでアクションゲームとレースゲームの良好な操作性は両立しないものだと思っていたので(事実両立していたことがない)、このフィーリングには感動しました。

一方で、減点ポイントがいくつもあるのは事実です。

まず、イベントムービー中のQTE(Quick Time Event)について。
これは事前情報で知っていたものの、レースゲームでQTEの操作を要求されるのはナンセンスとしか言いようがありません。

それでいて、シナリオがよく出来ているかというとそうでもないから残念。
美術や演出がいいだけに、なおもったいない印象があります。
せっかく大陸横断キャノンボールという題材は面白いのに、キャラクター性やライバルたちとのドラマ性が薄っぺらすぎて盛り上がりに欠けているのです。
いっそ「Driver: San Francisco」くらい突き抜けたシナリオがあった方が良かったはずです。

あとはロード時間が微妙に長い!

大陸横断という長期的な達成感と、高速で敵車をかわす短期的な爽快感が合わさった本作。
気になる点は多いものの、レースゲームとして見たときに車を操る楽しみは失われていないので、総合的にはポジティブに評価したい一作です。
まだまだ行程の半分ほどですが、最後まで楽しみたいと思います。

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