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「Guns of Icarus Online」ベータ版レビュー、魅力と課題は同居する

date: 2012/10/01 19:07 | update: 2012/11/23 15:50
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画面はベータ版のものです
All footage is in game of beta build.

Guns of Icarus Online」は大人数(最大32人)で空の戦いが楽しめる飛行船コンバットゲームです。
マルチプレイヤーのPvP(対人戦)であり、かつ、同じ飛行船に4人まで乗れるCo-op(協力)でもあるというゲーム性は、改めて考えてみると他に類を見ないものでしょう。

自分は、公式トレイラーを見て「これは面白そうだ!」と即購入、予約特典であるベータテストに毎日のように参加し、開発元からベータキーを貰ったり配ったりプレイ動画も作り、現在に至っています。
実際に何試合かプレイしてみて、最初に感じた「面白そう」という印象を裏切らないゲーム性に感動しましたが、同時に、そのゲーム性がこのゲームの根本的な課題になっているとも感じました。


魅力的なゲームデザイン

プレイヤーはCaptain(船長)・Gunner(砲術士)・Engineer(機関士)からクラスを選びます。
飛行船1隻につき船長は1名必要。残りの3名は砲術士か機関士のどちらかになる仕組みです。

このゲームの一番の魅力はやはり、「乗員みんなが力を合わせて船を動かしている」という実感があるところでしょう。
もちろん実際に船を動かしているのは船長ではありますが、相手を攻撃する砲術士も、被弾した船を直す機関士も絶対に欠かせない存在であり、お互いがしっかり声を掛け合ってはじめて攻守を備えた「武装飛行船」として機能するわけです。
プレイ動画を見ればお分かりの通り、いい年をしたオッサンが「9時方向に敵影!」とか「主砲用意!」とかノリノリでゴッコ遊びをしちゃう、少年心をくすぐるゲームデザインになっています。

ちなみにこのクラス分けは、「それ専門の職」ということではありません。
例えば船長であっても銃座から攻撃することは可能ですし、ハンマーで船の修理も出来ます。

個人的に気に入っているのは、飛行船のカスタマイズです。
ここでは各銃座に設置する武器と船の名前を変更できます。

グラフィックも、蒸気と歯車を使った「スチームパンク」な世界観を非常に上手く表現出来ていて、プレイしていて本当に楽しいと感じられる仕上がりになっています。
武器のアニメーションが一部欠けているものもありますが、少しずつ追加されています。

シンプルなルールとよく出来たバランス

基本的なルールは単純明快で、相手の飛行船を撃破すれば1ポイント獲得となり、5ポイント先取したチームの勝利となります。
つまり戦闘単位は、プレイヤーではなく飛行船なわけです。

他の多くのゲームにおいては、この場合(操縦技量の差を無視すると)飛行船のスペックが勝敗を決める大事な要素になると思います。
速度が速い・遅い、耐久力が多い・少ないのトレードオフでバランスを取っているものばかりでしょう。

しかし「Guns of Icarus Online」は、「飛行船」の下に「プレイヤー」という単位が存在し、攻撃と修理にそれぞれ人数と時間を割かなくてはいけません。

船を構成する要素は、Hull(船体)・Balloon(気球)・Engine(エンジン)と、攻撃のためのSmall/Medium Gun(銃座)となっています。
各部は破壊されるとその機能を停止します。
一番重要なHull(ハル)についてより詳しく言えば、これは船本体の耐久力それを守る鎧のようなもの(アーマー)で構成されています。上のゲージはアーマー・下のゲージは船本体の耐久力になっています。
アーマーのゲージがゼロになると船本体にダメージが入ってしまうわけです。また、修理して直るのはアーマー側だけで船本体の耐久力は回復せず、1隻が延々と無双し続けるのは難しくなっています。

各部は船に分散配置されているため、一人だけではカバーできないようになっています。
修理しやすいレイアウトだったり、あるいは船長席の視野の広さだったりと、船のスペックシートだけでは見えない要素を含めて、高度にバランスが取られていると感心させられました。

すぐに直面する問題点

プレイ初日にも書きましたが、最大の問題点は「プレイヤーが少ない」ことでしょう。
ベータテスト中の現在、ロビーに10人ほどいればいい方で、人が来ないためになかなかゲームが始まらないことも多々ありました。

理論上は各チーム船長が1名ずつの計2名からはじめられますが、もちろんそれではこのゲームの面白さを味わうことはできません。
仮に自分のチームで4人集められたとしても、他のスロットに一体何人が参加してくれるのか、完全に運任せになってしまいます。
この手のゲームにおいて「過疎」は逃れられない問題点として挙げられますが、タイトル通りオンライン専門の本作においては特に顕著にこの問題が出てしまっています。

さらに追い討ちをかけるように大小のバグが散見し、中にはプレイ開始に支障をきたすものまであります。
もちろん、現在はベータテスト中であり、リリース日は今月末に延期されました。
しかし残念ながらこのペースでは、それらのバグを直し、ショップなどの機能を追加し、体裁を整えて発売を迎えられるとは考えられません。
仮に将来、定価20ドルのゲームに見合うアップデートがなされたとしても、そのときにプレイ人数がどれほど残っているのか、想像するのは難しくないでしょう。

まとめ

仲間と一緒に空を飛ぶ楽しさ。
この世界観と、PvPでありながらCo-opでもあるというゲームデザインが気に入ったなら絶対に買うべき一作です。

ただしその楽しさは、仲間4人と、ある程度の人数の相手が揃って始めて得られる経験です。
さらにはバグに対する寛容な心と、フィードバックを惜しまない献身さが求められます。

余談、個人的にインディーズゲームに対して心がけていること

買ったゲームに対して、「過疎だ」とか「クソだ」とブログやTwitterで嘆いている人は多いでしょう。
もちろん、お金を出した消費者として、不満を口にする権利があることは理解できます。

しかし、個人的にインディーズゲームに対しては、プレイヤー自身が積極的な行動を起こすべきだと考えています。
「過疎だ」と言うのなら、そのゲームに興味を持ちそうな人を誘ってみるとか、プレイ動画を作って実際のゲームの雰囲気を紹介するなどが効果的でしょう。
「クソだ」と言うのなら、フォーラムやメールを使って直接デベロッパーに問題点を提示して、改善を促した方がよっぽど建設的でしょう。
インディーズゲームは大抵、プレイヤーコミュニティーとデベロッパーの距離が近いのですから、いつまでも「お客さん気分」でいるのはもったいないと思いませんか?

もちろんそれらの活動は、対価を伴わないボランティアになるでしょう。
しかしそのゲームが(どこかしら不満点はあるにせよ)本当に「面白い」のならば、それくらいは手間にならないはずです。

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