archive: 2010/09/20

男の娘ブームへのアンチテーゼとしての「放浪息子」

date: 2010/09/20 22:36
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放浪息子 (1) (BEAM COMIX)

「放浪息子」は、女装男子と男装女子の2人の主人公を中心とする、思春期の学生の日常を描いたマンガ作品です。
元々作者が同じく志村貴子の「青い花」が好きだったのですが、「放浪息子もいいよー」と方々で言われていたので読んでみました。

いやー、面白い。
面白い、というか、興味深い。

物語序盤では小学5年生だった女装好きの男子「二鳥修一」は、巻数を経るごとに徐々に男性に成長(性徴)していきます。最初のうちは「ははっ、二鳥君カワイイね」なんてのんきに構えていたわけなのですが、季節が巡り第二次性徴が現れ始める中学生になったころからその「カワイイ」にも時間的な限界があることを思い出すのです。
ここまできてようやく、「青い花」が百合オタに現実を突きつける作品であったように、この「放浪息子」が男の娘オタに現実を突きつける作品なのだと気づかされます。

最近のマンガやアニメの中には「男の娘」と言われる「男性でありながら女性(特に美少女)のような容姿をもつキャラクター」が頻繁に登場し、一種のブームとなっています。大抵の場合は普段から女装姿で生活していて、周囲もその存在を認めているか男性であることを気づかないか、いずれにしても男の娘キャラを受け入れる社会ができあがっています。
一方で放浪息子の主人公、二鳥君の日常には、友達がいて、家族がいて、その他大勢の人がいて、当然その中には「女装する男子」を認めない人がいます。その姿が似合っている似合っていないに関わらず、そもそも存在を理解できずに戸惑う人もいるわけです。
そんな社会の中で、二鳥君は葛藤し、周囲も同様に苦悩し、あるいは馬鹿にしたり無視したり、複雑に人間関係が回っていっています。

男の子の無神経さ、女の子の面倒くささに、自分の中学時代を重ねて心が痛む(というか、思い出したくないことを思い出してベッドの上でシーツをかみ締めながら左右にのた打ち回る感じ)こともありますが、面白いので是非読んでみてください。
現在10巻までが発売中で、来年にはアニメ化も予定されています。

あんなちゃんがカワイイ。あと、ささちゃんもカワイイ。